2013年7月21日日曜日

世界で一番柄の多い国、日本!

こんにちは!
南信州飯田市は曇り~☁のお天気です。

先日、松前兼一さんの主催する、きもの文化研究家の
中谷比佐子先生の和のこころ「衣食住に使われた柄の意味と価値 2」と題した
講座を受講いたしました。

日本、世界で一番柄の多い国、それはきものの形にあります。
色柄素材がそろってきものが成り立ち、衣食住に柄が生かされています。
無地が尊いと思うのは、形に種類がある物においてだけです。

私はホテルで義父が染めた義母の形見のきもの、実の母の帯を着つけて
参加いたしました。
そのきものと帯には日本の文化を表す、絶大のパワーがあったのです。

着用した駒絽の紺地のきもの、観世水という小紋柄でした。
以前から、この小紋柄は何を表しているのかと悩んでいましたが、
中谷先生の一言で明確になり、吉祥柄、水紋とのこと。

水紋は型が自由になることから、きものにはなくてはならない文様です。
それは古事記に書かれている、川の中でもイザナギが顔を洗ったとき
左目から天照大御神、右目から月読命、鼻から須佐之男命が生まれました。
そして、日本の国づくりが始まったのです。

川の流れ模様は礼装には欠かせません。
川はやはり曲がりくなった形がよく、これもたくさんの気を運ぶ意味があるそうです。

今回はきもの小紋柄についてお話ししました。

次回は私が着用した、帯の柄についてお話しいたします。



2013年7月7日日曜日

夏のきものが楽しい!

こんにちは!
南信州飯田市で、きもの小紋染めの工房を営んでいる
創作染工房【久】です。

きものは夏になると裏地が付いていない単衣仕立てのきものを着ます。
その気候や場所にもよりますが、6月1日~9月30日までが目安です。
今では気候の温暖化で、5月からでも良いように思います。

薄地の透ける素材やきものを「薄物」と呼びます。
6月と9月には透けない単衣、7月と8月の盛夏には透ける薄物を着るのが、きものの習慣です。
浴衣は7月と8月に着ますが、薄物とは言いません。
夏にきものを着ることが、とても贅沢なお洒落になった今だからこそ、
涼しげに見える色や文様にも注目したいものです。

写真は【久】オリジナルきもの小紋、駒絽に染め上げました。
グレーとブルーの中間色が涼しげな、小紋柄のコラボレーション
爽やかな印象です!

駒絽とは薄地の透ける絹素材です。

夏のお茶席、パーティーなどいろいろなシーンに、駒絽のきもの小紋が大活躍です。

2013年7月6日土曜日

きものへの思い、義母と一緒に!


単衣の縮緬の小紋柄のきものです!

波打つように変化した亀の甲の小紋文様です。

生前義母が誂えたもので、主人の父、義父が染め上げたものです。

濃い目藍色の亀甲柄の小紋に、少しブルーかかったクリーム色の地色が爽やかな印象です。

 きものに使われている亀甲の小紋柄には、「亀甲」その字が表すとおり、亀は風水でいう中国の四神(青龍・白虎・朱雀・玄武)の内の玄武で、神の意を伝える能力を持ち、長寿のシンボルです。

 亀の甲(六角形)が崩れない連続模様で、永遠の繁栄を願い、亀の甲を焼いてそのひび割れの方向で、神の意を占ったと考えられています。

 現代の化学では物質を表すものに、炭素原子6個からなるベンゼン核を用いますが、太古から蜂の巣や雪の結晶も六角形で、自然の中でその形の不思議なパワーに気が付いていたことに驚かされます。

 
母のきものに対する思いと一緒に、きものとして身につけることで、自然のパワーをいただけることはありがたく、とてもうれしいことです。



2013年7月3日水曜日

昭和のきもの小紋をもう一度

こんにちは!
南信州飯田市で、きもの小紋染めの工房を営んでいる
創作染工房【久】です。

今、【久】では、今年の秋に行われる展示会に展示する
オリジナル小紋の制作のために、【久】で保存していた、
昭和30年代の古くなってしまった伊勢型紙を復元して
現代に甦らせる作業をしています。

小紋柄の型紙は和紙で作られ、柿渋が何層にも塗られて出来上がったもので
丈夫に作られていますが、何回も糊置きと水洗いを重ねて行うために
だんだんに劣化して、ところどころに亀裂が入っているものや
型紙自体が、破れてしまったものがたくさんあります。

しかし、このころの小紋柄の型紙をもう一度手で彫ることは、手彫り職人が、
今はなかなかいないため実現しません。
そのため、シルクスクリーンにしてきもの小紋を染め上げていきます。





写真はその当時にサンプルとして染めたものです。
下の写真は少し拡大したものです。
意外にモダンな小紋柄と色合いに驚かされます!

南信州の草花が、モデルになっているのではと思います。

日本の淡い色は自然の草木の色に重なって、きものの文化に大きく影響していることを
とても感じています。

古いものを大切にして、新しいデザインと色でオリジナル小紋をきものに染め上げることが
私たち【久】の使命です。